わが子の朝の支度を楽にする!発達障がい・自閉症の特性を活かしたアメリカ発お役立ちノウハウ

「そんなにぼーっとしてたら学校に遅れちゃうよ!」

発達障がいを持つ子どもに朝の支度をさせるのは本当に慌ただしい!

特に小学校に入学して間もないころは、登校時間が保育園などから変わったり準備物が増えたりと子どもの環境が大きく変わりますよね。

朝の支度が習慣化していないうちは子どもがなかなか行動を起こせず、親が準備してあげることもしばしば。
自閉症と診断された息子を持つわが家でも同様の経験がありました。

このような場合、とりわけ自閉症の特性があるお子さんが朝の支度を習慣化しスムーズにこなせるようになるためには、やるべきことの「可視化」が重要!

今回は、「可視化」による療育の本場アメリカからそんなお子さんのためのノウハウをお届けします。

▼目次

なぜ発達障がいを持つ子の朝の支度に「可視化」が大事?

そもそも、なぜ発達障がいを持つ子どもが朝の支度を渋るのでしょうか?

それは、支度の流れが習慣化されておらず次にやるべきことの見通しを持てないためです。
一方、子どもは見通しがつかないまま次々に指示されると、混乱して不安な状態に陥ってしまいます。

「早く食事して!」
「終わったら歯磨きね!」
「着替えもしないと!」

わたしたち親はこんな具合に子どもに指示をしがち。
しかし、本来は次にやるべきことを明確にしてあげることが必要です。

また、自閉症を持つ子どもは、口頭での説明を理解するのが難しい傾向にあります。
それは、耳からの情報処理が苦手なことに加え、言語発達に遅れを伴うことからコミュニケーションの困難さも抱えていることが多いためです。

従って、子どもに「やるべきことを可視化して伝える」ことが重要。
そして、様々な可視化ツールの中で最も代表的な道具の一つと言えるのが「ビジュアルスケジュール」です。

朝の支度がスムーズに進む「ビジュアルスケジュール」とは?

ビジュアルスケジュールは一つ一つのタスクを目で確認できる表です。

スケジュールの左側には、ご飯やトイレといった「やるべきこと(タスク)」の絵カードを順番に貼ります。
タスクが終わるごとに、絵カードを右側「Done(完了)」の下に移していきます。

自閉症を持つ子どもには視覚からの情報を処理しやすいという特性があるため、ビジュアルスケジュールは有効なツールです。
また、発話が難しい子どもでも指さしでコミュニケーションがとれるという利点もあります。

発達障がいを持つ息子にビジュアルスケジュールを取り入れてみた

渡米したばかりの時、当時利用していた療育のセラピストに勧められ、わが家でもビジュアルスケジュールを導入しました。

ちなみに、行動分析学の父と呼ばれるアメリカ人心理学者B.F.スキナーが基礎を作ったABAセラピーは、現地でも多くの保護者が希望します。
わが家の場合は、セラピーがこちらで加入している医療保険の保障対象だったため、日本よりも格段に費用を抑えて利用できました。

当時、現地の小学校に通い始めた息子は新しいモーニングルーティンに慣れず、支度の間すきあらばYouTubeを見てはダラダラ。
マイペースなわが子を口頭で急かしても、「どこ吹く風」の状態でした。

そこで、セラピストと一緒にビジュアルスケジュールを作製。
早速その日の夜、息子が落ち着いたタイミングを見計らい、スケジュールで翌朝の流れを説明しました。

そして、翌朝スケジュールを再確認。
息子は「あっ」と流れを覚えていたような表情を見せ、渋々ながらも支度をこなしてくれたのです。

その後、一週間、前日の晩と当日朝の説明をセットでやり続けました。
すると、息子は徐々にこのルーティンに慣れ、トイレや着替えはこちらから声をかけずとも、進んで取りかかってくれるようになりました。

ビジュアルスケジュールの作り方

ビジュアルスケジュールはインターネットでも販売されていますが、手作りがベター。
子どもに必要な絵カードをカスタマイズできるからです。

可能であればお子さんと一緒に作ってみてください。

以下、材料をご紹介します。

【材料】
・ラミネートフィルム
・マジックテープシール
・スケジュール台紙と絵カードとして使用する紙(A4コピー用紙など)
(その他、はさみとラミネーター、プリンターが必要です。)

絵カードやスケジュール表の台紙となるイラストは次のサイトから無料でダウンロードできます。
絵カード(「ドロップレット・プロジェクト」という外部サイトに移動します。)
スケジュール表(Cue-Pon!のGoogleドライブに移動します。)

作り方は下の動画をご覧ください。

<YouTube動画を貼り付け>

発達障がいを持つ子どもにビジュアルスケジュールを使う時の注意点

自閉症を持つ子どもがコミュニケーションに困難があるという特性を踏まえ、スケジュールを説明する時は次の点に注意します。

・子どもと同じ高さに座り、目線を合わせて話すこと。
・穏やかな口調で一つずつゆっくりと説明すること。

また、実際にタスクをこなす際は、以下に気を付けると効果的です。
・タスクが終わるごとに子どもの手で絵カードを移し、一つ一つ確認させる。
・一つのタスクが終わったら子どもをほめ、すかさず次のタスクを確認させる。

加えて、スケジュールの説明以外の観点からは、前日の晩に親が着替えを子どものベッドの近くに置いておくなどの準備をしておくと、より朝の準備がスムーズにいくでしょう。

ということで、今回は朝の支度をスムーズに進める方法として「スケジュールの可視化」をご紹介しました。
子どもが小学校に入学したばかりであったり、夏休み明けなど生活リズムが大きく変わったりする時には、ビジュアルスケジュールを使ってみてはいかがでしょうか。

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