発達障がいを持つ子どもに動画を見せてもいい⁉わが家のスマホ活用法【前編】

みなさんは、発達障がいの特性があるお子さんにスマホやタブレット端末を使わせていますか?

スマホは、いまや子育てには不可欠なツールなのは言うまでもありません。
食事の間にYouTubeやNetflixの動画を見せている親御さんも多いのではないでしょうか。

一方、親御さんの中には子どもにスマホを使わせることに抵抗を感じる方もいらっしゃるかと思います。

しかし、わが家は、自閉症を持つ息子(10歳)が3歳の時からiPadを持たせ、動画を見せています。
また、息子専用のスマホはまだ持たせていませんが、たまに私や夫のスマホを使わせています。

今回は、私が発達障がいを持つ子どもにスマホやタブレットを使わせる理由についてお話しします。

発達障がいがあるわが子にスマホ動画を見せ始めたきっかけ

私が発達障がいの特性を持つ息子にスマホやタブレットを使わせるようになったきっかけは、彼の多動を抑えるためでした。

当時3歳の息子には言葉の遅れがあり、自分の要求をうまく伝えることができませんでした。
そのせいか、家の中では何度も机から飛び降りたり、一緒に公園へ出かけてもいきなり一人で遠くに走り出したりするなど、私には理解できない行動を頻繁に起こしていました。

そんな時に、テレビやYouTubeを見せると気がそれるのか子どもの行動が治まるのでした。

子どもが3歳になってしばらくすると、徐々に言葉が出るようになり、それにつれて多動の特性は少なくなっていきました。
一方、本格的にYouTubeの世界に足を踏み入れてからというもの、息子にとってスマホは欠かせないものとなってしまいました。

このようにスマホは発達障がいのある子どもの育児の手間を大幅に削り、私たち親を助けてくれるツールである考えに賛同してくださる方は多いと思います。

スマホを使わせることで子どもの言葉が遅れる⁉

それでは、なぜ私たち親が、発達障がいを持つ子どもにスマホを使わせることに対して抵抗感を持ってしまうのでしょうか。

今回は2つの意見を紹介します。

まず1つ目は、「スマホの使用が子どもの言葉の遅れを助長しているのではないか。」という意見。

私の息子も言葉の遅れを経験した子どもの一人であり、もちろん、彼の言葉の発達のためにわが家でも絵本の読み聞かせや語りかけをやっていました。
しかし、保育園のベテラン先生からは「ちゃんと絵本を読み聞かせていますか?」や「もっとお子さんに話しかけたほうがいいですよ。」といったおせっかいなアドバイスの雨嵐。

このような意見の背景には、因果関係があるのかどうかは別として「子どもにスマホを使わせることで、親や友だちとの関わりがなくなる。その結果、言葉が遅れる。」という考えがあるのではないでしょうか。

確かに、動画に没頭することで親子の会話がなくなるという指摘はもっともですが、一方で、子どもは動画の世界でたくさんの言葉を浴びているのも事実です。
このことから、子どもが動画から得た言葉を使えるように親がうまくサポートしてあげればいいのではないか、と考えます。

(※イメージ写真)

このため、わが家では子どもが見ている動画をネタに、「その動画の何が面白かったか」などを質問し、コミュニケーションをとるようにしています。

動画の世界を外出先で再現する発達障がいを持つわが子

親が持つ意見の2つ目は「動画を繰り返し見させることで、その内容が子どもに刷り込まれてしまう」というものです。

発達障がいのある子どもにスマホを使わせると、自分が好きな動画のワンシーンを朝から晩まで見続けているなんてことがよくありますよね。

わが子はテレビ東京のドラマ「孤独のグルメ」が大好きで、街中で突如主人公のセリフをつぶやくことがありました。
これはまだ可愛い例かもしれませんが、子どもが公共の場で何の脈略もない言葉を発すると、自然と周囲の注目を集めてしまいます。

一度このような経験をしてしまうと、動画の世界に浸っている子どもが心配になってしまいますよね。

(※イメージ写真)

もちろん、こだわりを持ちやすいという自閉症の特性を踏まえると、ある程度子どもの興味の対象が絞られてしまうのは仕方がないことだと思います。
しかし、その一方で私たち親ができることは、子どもに寄り添いつつ、興味をスマホの外に移してあげることなのではないかと考えます。

発達障がいのある子どもをスマホの世界から切り離すには

では、どうすれば子どもに寄り添いながら、興味を現実の世界に移してあげることができるのでしょうか。

すでにお話しした通り、自閉症の特性があるわが子は料理のドラマやYouTube動画を繰り返し見ていて、料理にとても興味があるようでした。
そこで、息子が小学一年生になった時、それまで息子がハマっていたおもちゃの料理セットの代わりに、思い切って本物の食材や包丁を与えることにしました。

料理といっても、スクランブルエッグなど簡単なレシピではありますが、まずは卵を混ぜるところから始めました。
その後、様子を見つつ子どもに卵を割らせるようになり、いまでは、私の目の前で火を使わせることもあります。

ということで、今回は、わが家で発達障がいのある子どもにスマホやタブレット端末を使わせる理由についてお話ししました。次回の記事では、実際に「スマホなどの動画を使ってどのようにして子どもの興味を広げるか」などに関してご説明します。

>>> コラムfromUSAトップへもどる